唄収録日 :2017/2/24
唄記述日 :2017/2/28
*歌詞*
「(ハァ ヨサコイ アバヨ)
ハー 木曽へ木曽へと
付けだす米は(ハ オヤ)
伊那や高遠の
伊那や高遠の お蔵米
天竜下れば しぶきに濡れる
持たせやりたや
持たせやりたや 檜笠」
*記述*
長野県伊那地方のお座敷唄です。
江戸の元禄(1688年~1704年)の頃、木曽の牛方であった古畑権兵衛が、伊那と木曽の両谷を最短で結ぶ峠(後に権兵衛峠と名付けられました)の改修を提唱したため、工事が行われました。この峠を通じて「御岳山節」(「木曽節」の元唄)が木曽から伊那へ馬子によって持ち込まれ、「伊那節」ができたとされています。
一番の歌詞は、江戸時代に伊那側を管轄していた高遠藩の借金の返済のため、年貢米が権兵衛峠を通り伊那から木曽へ運ばれるのを唄ったものです。
二番の歌詞は、1915(大正4)年に飯田市の南信新聞が新作の歌詞を募集した際に一等で入選したもので、天竜川下りの観光宣伝に多用されました。
私は唄を知らなかったので、日本民謡大観を参考にしました。お囃子の「ヨサコイ」は「ヨシャコイ」、また一番の歌詞の「お蔵米(おくらまい)」は「おくさまい」に聞こえるため、そう発音しています。
また、お囃子の「ヨサコイ」は「ソリャコイ」と唄われることが多く、元は馬子の挨拶がお囃子になったとのことです。もしかしたらこの「ヨサコイ」は「夜さ来い」から来ているのかもしれませんが不明です。
*参照*
『日本民謡辞典』 1972 仲井幸二郎・丸山忍・三隅治雄 東京堂出版
『日本民謡大事典』 1983 浅野健二 雄山閣
Various Artistsの「日本民謡大観 中部篇(中央高地・東海地方)3」を iTunes で
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デジタルミュージックでは美空ひばり氏しか唄っている方がおられないという衝撃の事実。