おてもやん(熊本甚句)

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唄収録日  :2015/12/6
唄記述日  :2015/12/11

 

*歌詞*

「おてもやん あんた此の頃 嫁入りしたではないかいな
 嫁入りしたこたぁ したばってん
 御亭どんが ぐじゃっぺだるけん
 まあだ盃ぁせんじゃった
 村役鳶役 肝入りどん
 あん人達の おらすけんで
 あとはどうなと きゃあなろたい
 川端まっつぁん きゃあめぐらい
 春日ぼうふらどん達ぁ しりひっぴゃあて
 花盛り花盛り
 ピーチクパーチク 雀の子
 げんぱく茄子の イガイガドン

 

 一つ山越え も一つ山越え あの山越えて
 私ゃあんたに 惚れちょるばい
 惚れちょるばってん 云われんたい
 追々彼岸も 近まれば
 若もん衆も寄らんすけん
 熊本(くまんどん)の 夜聴聞(よじょもん)詣り(みゃあり)に
 ゆるゆる話ば きゃあしゅうたい
 男ぶりには 惚れんばな
 煙草入れの銀金具が それが因縁たい
 アカチャカベッチャッカ チャカチャカチャ」


*記述*

 唄の歌詞も調子もユニークでおかしいのですが、合わせて歌詞も調子も難解です。だからこそ人に好まれる有名な唄であるのかもしれません。 

 

 赤坂小梅氏が1948年(昭和23年)に出したレコードで、地域で唄われていた唄が一躍全国に広まりました。しかし方言が違うこと、拍子が短く早いこと、 唄の雰囲気が違うことで地元では評判が悪かったようです。
 ちなみに氏はこの唄をこの時以外にもレコード化していまして、都度にテンポを落としていっています。
 私はこの唄を習ったことがなかったので、氏の後年の唄を聴いて練習した上で、方言を修正し、テンポを更に落としました。しかし、氏の歌唱力に追い付けないのはもちろんのこと、現地の方言の音調が出ないという中途半端さを露呈しております。


 
「そうじゃおまへんか」節という本調子甚句が江戸からやってきて熊本でこの唄に発展しました。「酒田甚句」に(私が唄うものより、酒田現地で唄われているものの方が更に)出だしが類似しています。
 この唄の歌詞については参照先に詳細が出ていますが、元は「熊本甚句」という名前なだけに、おてもやんが登場するのが1番の前半だけで残りはその近隣の様子、二番は別の女性が主人公という説を支持します。


*参照*

『日本民謡大事典』 1983 浅野健二 雄山閣
  

おてもやん 「熊本甚句」 Part1 : the Muse

 


*試聴(広告)*

 この唄をカバーする方は、原曲に沿っている真っ当なものか、ふざけた感じのものか、奇をてらうものか、の三方向に分かれている気がします。選択肢が多いので、(いつも通り)奇をてらっているもので、かつ雰囲気を壊しすぎていないものを一つ。