唄収録日 :2015/7/9
唄記述日 :2015/7/12
*歌詞*
「婆の腰ァ ホーハイ ホーハイ ホーハイ
まホがたナーエ 曲がた腰ャ アリャ のらぬ
稲の花 白いじゃ 白い花 みのる
津軽富士ァ たホかいじゃ 名は 岩木 山よ」
*記述*
この唄は好きだったのでよく聴いていましたが、いざ自分が唄う段になると発見と悩みが湧いてきました。
発見。ホーハイ三唱した後の次の歌詞、一番「曲がた」と三番「高い」の時は第一音の次に高音の「ホ」を挟むのに、二番「白い」の時には第一音の子音「イ」が高音になります。一番と三番の歌詞だと第一音の子音は「ア」になりますが、一オクターブ上げにくいからでしょうか。
(実は動画をアップした後に色々な方の唄を聴き比べて気づきまして、恥ずかしながら最初の動画は削除しました)
悩み。「岩木山」というのは通常「いわきさん」と読みます。でも歌詞三番の「いわき アリャ さんよ」というのにどうも違和感がありまして。
青森出身の方が歌っておられる音源が手元にあるのですが、どなたもこの歌詞を採用されておられないのです。
後述するようにこの歌詞は大事なので、インターネットの海を探りながら悶々としておりましたところ、演歌や他の津軽民謡で「いわきやま」と発音されているのを発見、よしこれでいこうと勝手に判断しました。なので、間違えていたらすみません。
裏声から地声へ転換する独特の掛け声、わざわざ歌詞にしなくてもいいのではという歌詞(例:お婆様の腰が曲がって伸びない)を持つこの唄は、その生い立ちも、霊山である岩木山周辺が発祥地ということ以外謎の一言に尽きます。アイヌ民謡の影響を受けたのではないか、戦での士気高揚のための掛け声が起源ではないか、求愛の唄ではないか、呪いの唄ではないか、等々。
今後もその謎が解けるかどうかは分かりませんが、不思議な魅力でこのまま唄い続けられることを望みます。
*参照*
町田嘉章・浅野建二編『日本民謡集』1960 岩波書店
ホーハイ節 | NHK映像マップみちしる~新日本風土記アーカイブス~
※この唄は『日本民謡事典』には掲載されておりません。