日高川甚句

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写真撮影場所:和歌山県御坊市、日高川町
写真撮影日 :2018/03/27
唄収録日  :2018/5/11
唄記述日  :2018/5/17
訪問記述日 :2018/5/17


*歌詞*

「あのま安珍さん 清姫嫌(きろ)て
 (コラショイ)
 お逃げなされし マア 日高川
 (蛇になっても この川を
  渡らにゃならんと ザンブザンブ)

 二世(にせ)を誓いし 安珍さんの
 後を慕(しと)うて 清姫が

 浅い川じゃと 小褄(こづま)を絡げ
 深く成る程 帯を解く」


*記述*
 
 和歌山県御坊市の花街のお座敷唄です。歌詞の内容は日高川町にある道成寺の安珍・清姫伝説が元になっています。
 修行僧の安珍が熊野へ行く途中に庄司清司宅で宿を頼み、そこで娘(妻という説あり)の清姫に慕われ添い遂げる約束をしました。しかし安珍が熊野詣後に庄司宅へ寄らず素通りしたため、清姫は安珍を追いかけましたが逃げられてしまいます。怒りのあまり清姫は蛇身となってしまい、終には道成寺の梵鐘の中に逃げ込んだ安珍を焼き殺してしまうというもの。後日談も含めて能、浄瑠璃でも御馴染みの題材です。
 この唄は日高川の渡しに断られた清姫が、蛇になった時の様子を唄にしています。唄のできた経緯は不明ですが、三味線は本調子甚句で、おてもやん(熊本甚句)酒田甚句と出だしがそっくりです。
 お囃子の「蛇になっても~」で、若い芸姑の着物の裾をめくらせるお座敷遊びで使われていたそうです。

 日本民謡大観の声の高い歌い手に音程を合わせました。
 お囃子の「蛇になっても~」は、日本民謡大観では唄の初めと、一番の終わり、そして曲の終わりに入っていましたが、動画では和歌山県民謡連合会のものを参考に一番二番三番が終わる都度に入れています。

 

*訪問記述*

 9時31分にJR御坊駅に到着。天気は曇り後晴れ。

 御坊までは特急くろしおで向かいましたが、ここから道成寺駅への普通電車は11時代まで来ず、バスの乗り継ぎもないので、道成寺まで歩いて行くことに。駅前から東へ歩き、最初の信号で北に曲がり、踏切を曲がってまた東へ。
 今回の旅行は割とどの道も車の通行量が多く(春休み期間だからでしょうか)、カメラを構えるのも気が引けるほどでしたが、この踏切沿いの道は県道190号線に合流するまでゆっくり歩けました。

こんなところに柑橘系

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 県道190号線から県道27号線を経て、道成寺の石段を登り仁王門へ。着いたのは10時前でしたが平日にしては人がいて、境内を見回っている間にどんどん観光客が増えていきました。さすがは桜の道成寺です。
 宝仏殿と縁起堂と奥之院(奥之院は帰宅してから存在を知りました)以外を回って、10時半前。縁起堂で次の絵とき説法がいつか尋ねたら5分後との事でしたので、折角ここまで来たのだからと拝観料を支払いました。
 縁起堂に掛かっている絵をちらちら眺めた後、時間が来たので絵とき説法を拝聴。うーん、ちょっと言葉が聞き取りにくい、という感想ですみません。説法慣れしていらっしゃるご様子なのに何故。
 宝仏殿で千手観音菩薩像を筆頭に仏像をさらさらっと見て、11時前になりました。拝観料600円分ゆっくり観たかったのですが(がめつい)、そろそろ間に合わないので出発。境内下の観光バスと観光客を横目に、道成寺から一番近い日高川の川岸へ向かいます。
 県道27号線を南下していると車が頻繁に、それもスピードを上げたまま横を通り過ぎるので、ひええとなっていました。それでも隙を見て撮影する辺り懲りない感じですが。

 日高川沿岸に到着。見渡す限り誰もいませんでした。まあ観光客は来ないよね、ということで撮影をしてからUターン。電車に一本乗り遅れると悲惨なことになるので急ぎます。
 でも急いでいる時に限って、道成寺の駅は線路の南から入れたっけ、と勘違いするわけです。残念ながら北からしか入れませんので、道を戻って焦る焦る。
 道成寺の駅に着いたのが11時35分頃。セーフ。ホームで写真を撮って41分発の電車に乗って御坊へ戻ります。

 御坊駅から紀州鉄道線に乗り換え。運転士さんに確認したら、JRの道成寺から御坊までの精算を降り際に紀州鉄道の分と一緒に精算してもよいとのことでした。
 頻繁に鉄道を使っている割に私の鉄道愛が乏しいことは、これまでの訪問記述の通りです。日本一の最短ローカル線でも私はぼーっと乗っていただけですが、愛に満ち溢れた方々がカメラを首から下げて、運転席の隣で前方を見据えておられました。

 市役所前駅で下車し、県道188号線を東に向かいます。目指すは御坊の北新地で、元は遊郭があった場所です。意気込んで向かったのですが、どうも頭に入れてきた地図が曖昧すぎました。結果、北新地に入る直前の辻しか撮れず、そのまま道に迷う事態に。
 何でもいいから撮ってしまおうと寺内町周辺を無節操に撮影していると、旧中川家へ到着。お腹が空いたので先に敷地内の「そば&カフェなかがわ」に入ります。天ぷらそばとミニ親子丼のセットで注文しましたら、ミニ親子丼が想像より大きくて、一人だと残すかもと思うぐらいでした。
 まあなんとか完食して(ごちそうさまです)、旧中川家を散策。この建物は「そば&カフェなかがわ」の方が管理されているのですが、受付にはどなたもいらっしゃいません。こんな放置でいいのだろうかと考えながら、中のギャラリーで障害をお持ちの方の展覧会をされていたので、じっくり拝見しました。 

 旧中川家を出て、本願寺日高別院を撮影しようと南へ。行って正門が閉まっている写真を撮ってから、あれ、閉まっているけどこれってどうやって入るの、という疑問。というのも、お寺が閉まっている割に、正門のすぐ後ろから子どもたちの声がします。
 西側に敷地を壁沿いで回ってみましたが、子どもたちの声が聞こえるばかりで入る場所はなさそうです。

有刺鉄線と桜の向こう側に鐘楼は見えますけど

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 西側の県道176号線を北上。裏門は閉ざされていました。更に北へ向かうと駐車場があったのですが、お寺との間がフェンスで仕切られていました。フェンスの一部が扉になっていましたが、鍵がかかっているのかいないのか遠目からだと分からず。
 寺内町の元料亭の周辺に紛れ込んだりしながらも、最初の正門近くまでぐるっと戻ってきた時に、その手前で車の門扉があることを思い出しました。開放されているのですが、特に但し書きはありません。誰もいないのでそっと入っていくと、寺の敷地は子どもたちでいっぱいでした。
 その時点で気づきます。御坊幼稚園が寺の敷地内にあるのですが、日高別院の正面辺りも子どもたちにとっては園庭にあたることに。そして、おそらく間の悪いことに昼休みの時間に来てしまったと。場違いで居心地が悪かったので、写真を撮るだけ撮ってすぐに退散しました。

 そこから南へ向かいます。目指すは南新地で、北新地同様遊郭があった場所ですが、結論から言うと辿りつけませんでした。事前調査が足りなかったと反省しております。(参照に実際赴いた方のブログのリンクを貼っています)
 途中、小竹八幡神社に寄りつつも町の写真を撮りながら歩きましたが、時間間際になったため急ぎ、紀州鉄道線西御坊駅からの14時10分発の電車に乗って御坊に戻り、帰宅しました。

 

*参照*

『日本民謡辞典』 1972 仲井幸二郎・丸山忍・三隅治雄 東京堂出版
(曲名は「日高川音頭」になっています)

日本民謡大観 近畿篇 8 by Various Artists on Apple Music

御坊市:日高川甚句 | 和歌山県文化情報アーカイブ

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