唄収録日 :2016/3/24
唄記述日 :2016/3/29
*歌詞*
「おどま盆ぎり盆ぎり
盆から先ゃおらんと
盆が早よ来りゃ はよ戻る
おどんが打っ死(ち)んだちゅうて
誰(だい)が泣いてくりゅか
裏の松山 蝉が鳴く
蝉じゃござんせぬ
妹(いもと)でござる
妹泣くなよ 気にかかる
おどんが打っ死んだら
道ばちゃ埋(い)けろ
通る人毎(ご)ち 花あぐる
花は何の花
つんつん椿
水は天からもらい水」
*記述*
守子唄です。「宇目の唄喧嘩」や「博多子守唄」という雇用主に対しての反抗心が燻るものとは違い、守子が自らの置かれた境遇を嘆き悲しみ耐え忍ぶ「竹田の子守唄」に近い唄です。
元唄は五木村役場のホームページから聴けます。唄っておられる方は堂坂よし子氏で、日本民謡大観にも「子守唄(5)」というタイトルで同氏の唄が入っています。
素朴で土の香りがするような元唄で、流行歌にありがちな土地の唄との乖離かと納得できるのですが、乖離も何も実は流行歌版は五木村ではなく南の人吉市の子守唄に近いらしいです。
この唄が商業化された経緯は複数ルートありますが、その中で1950(昭和25)年3月に歌手の音丸氏が現地で覚えた人吉市の唄を「五木子守唄」としてレコード化しています。どうしてタイトルが変更になったのかは謎なのですが、その後に本来の「五木の子守唄」もそれとは別ルートで有名になり、同一タイトルでも完全に別曲という状態のまま現在に至ります。
商業化までに何人ものひとが関わったためか、歌詞(特に語尾)が唄い手によっても文献によっても異なります。五木村役場のホームページに「代表的な正調五木の子守唄」の歌詞が掲載されていたので参考にさせてもらいました。
2番から5番の歌詞は一つの流れになっていますが、どの唄がどの順番という決まりはないそうです。また、歌詞中の「椿」は「茅花(つばな)」のことだという説があります。
*参照*
『日本民謡集―ふるさとの詩と心』 1959 服部龍太郎 社会思想社
ヴァリアス・アーティストの「日本民謡大観 九州篇(南部)・北海道篇 1」を iTunes で
*試聴(広告)*
私が唄っているものと旋律が違う唄で試聴できるのは、これしかなさそうです。