唄収録日 :2016/2/27
唄記述日 :2016/2/28
*歌詞*
「庭の山茱萸(さんしゅう)の木
鳴る鈴かけてヨー
オー ホイ 鈴の鳴る時ゃ
出ておじゃれヨー
鈴の鳴る時ゃ なんと言うて出ましょ
駒に水呉りょと 言うて出ましょ」
*記述*
タイトルの通り、元は稗を臼に入れ杵で搗くときの作業唄です。この唄が作られた椎葉村は山村で、平地がないため米を作ることができず、山を焼いたその場所で稗を作っていました。
女性も参加する作業であったことから、この1番と2番のように、恋唄の掛け合いも行なわれていたようです。
歌詞の中には平家の落人伝説に因むものもありますが、これらの歌詞は古い歴史を持つものではなく、1940(昭和15)年に当時宮崎市で観光係長を務めていた長友勝美氏によって作られました。
長友氏はまた原曲の難解な唄を易しく編曲し、併せてそれを自分で唄い何度もレコードを出しています。全国的に流行しかつ私が唄ったものはこの長友氏が出した「長友節」です。
この歌詞の「山茱萸」(通常サンシュユと読みます)は江戸時代に日本へ入ってきたことから、元唄は「山椒」だったという説がありますが、確認はできていません。元唄は日本民謡大観の「稗搗唄」(那須袈盛氏)ですが、唄われている歌詞は全く別のものです。
*参照*
『日本民謡辞典』 1972 仲井幸二郎・丸山忍・三隅治雄 東京堂出版
『日本民謡大事典』 1983 浅野健二 雄山閣
ヴァリアス・アーティストの「日本民謡大観 九州篇(南部)・北海道篇 4」を iTunes で
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稗搗節には元唄、「長友節」、それともう一つ宮崎県民謡の奈須美静(稔)氏が唄う節があります。この正調は、その流れを汲むものと推測しています。